これってチックかも
目をパチパチ、首をクイッと動かしたり、鼻をフンフン鳴らしたり、喉から「ウン」と不思議な音を出したり…。
ご家族や学校の先生が心配されているこのような行動はチックかもしれません。
チック症はめずらしくはありません
チック症は、5-6歳のころに始まることが多く、多くの場合1年以内に自然に治ります。
このように1年以内に自然に治るものは、
「暫定的チック(症)」
と呼ばれ、1年以上続くものは、
「慢性チック(症)」と呼ばれます。
チック症がどれくらいの頻度で現れるのかに関しては、子どもの暫定的チック症は5~24%と報告により差がありますが、めずらしいものではありません。
どんな症状があるのでしょう?
チック(症)の症状はとても多彩です。
顔や手足などの動きのチックを「運動チック」、口や鼻から音を出すチックを「音声チック」と言います。
運動チック
目をパチパチする、顔をしかめる、口をゆがめる、目をグルンと回す、鼻をピクピクさせる、首を左右に振る、腕を上げる、ジャンプする、など
音声チック
フンフン喉や鼻を鳴らす、咳払い、鼻や舌を鳴らす、「あっ」など繰り返し声を出す、叫ぶ、言葉が出る、単語を連発する、など
チック症の治療
暫定的チック症の場合は、過度な指摘をせず、安心できる声かけや環境調整で様子を見るように助言されることが多いようです。
一方で、経過が長いもの(慢性)や程度が強いもの(複雑性)、トゥレット症は、お子さま自身やご家族の苦痛も大きくなり、治療が必要になることがあります。
治療としては、薬物療法と心理療法があり、どちらも効果があることが報告されています。薬物療法については、効果が早い、トレーニングなどの労力を要さないなどのメリットがあります。一方で、心理療法については、副作用が無い、一度習得すると効果の持続が長い、などのメリットがあります。

チック症に対する包括的な治療プログラム:CBIT
CBIT(Comprehensive Behavioral Intervention for Tics)は、ハビットリバーサル法(チックを他の行動に置き換える)、行動機能査定(チックが出やすい状況を調整する)、 リラクセーション、など複数の心理療法を組み合わせた治療プログラムです。2008年に報告されて以降、エビデンス(科学的根拠)の高いプログラムとして各国で取り入れられ、アメリカ、カナダやヨーロッパの治療ガイドラインでは薬物療法とともに第一選択の治療のひとつとして位置づけられています*。
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* American Academy of Neurology (AAN) practice guideline, “The Treatment of Tics in People with Tourette Syndrome and Chronic Tic Disorders, 2019